2013年2月11日月曜日

ミッドライン① 中心軸の美しさは、身体だけではなく芸術にも表れている!

クラニオセイクラルを学ぶ事は、自然科学や芸術を学ぶ事ということが出来ると私は思っています。

私たち人間は、この地球と言う巨大な星の上に、まず引力で常にひきつけられています。
太陽の光が降り注ぎ、木々が光合成をして酸素を放出し、人間は肺呼吸をし、酸素を吸い込み、二酸化炭素を吐いています。

このような自然科学の秩序だけではなく、音楽、色彩などを含む芸術と呼ばれる世界の中にもまた、クラニオセイクラル、バイオダイナミクスの真髄を感じることが出来ます。

「智恵子抄」という詩集を綴った、高村光太郎は、文筆活動のみならず、彫刻や絵画の分野でも多くの作品を残しています。
「栄螺」サザエという木彫りの彫刻の作品がありますが、この作品は、高村氏の大きな転機となった作品と言われており、当時、制作する際、このように話していたそうです。

「サザエがなぜこんなに美しいかと言うと、このサザエの中にゆるぎない中心軸があるからだ。」

この中心軸、クラニオセイクラルにおいては、ミッドラインと呼ばれています。
しかし、ただの中心の線という言い方では、とても足りないくらいの壮大で深い意味合いがあるのです。

また、最近流行っている、体の軸、体幹を作り上げるために、インナーマッスルを鍛えるというような身体機能の単なる機械的なバランスの軸という考察ではない、より深い洞察があるのです。
もちろん、体を鍛えるのは素晴らしいことです。内転筋や、腸腰筋を鍛えることは身体の健康を築きあげてくれます。

しかし、このミッドラインこそが、私たち人間を含む、命あるものの、オリジナルマトリクスであり、原点なのです。

もっと分かりやすい言い方で、私なりの説明をしたいと思います。

まず、私たち人間の発生を考えて見ましょう。
もともと、私たち人間は、母親の体内にある大きな卵子細胞であり、そこに父親の細胞、精子がたどり着き、受精卵になります。
そのときに透明の膜で細胞は覆われて、いずれ人間に発展していく一つの細胞になります。
この細胞は卵管を通り、子宮の内膜に着床します。

ここから、この細胞はより人間らしい形に変化していくのですが、最初のミッドラインの兆しが現れます。
��実はもう少し前からミッドラインは存在しているのですが…またの機会にお伝えします。)

原始腺条という溝ができるのです。
この溝に沿って、細胞は分裂を繰り返し、やがて体の中心となる脊髄や中枢神経などに発展し、精密な人間が誕生します。ここで、ミッドラインの発祥である原始腺条は、どんな役割をしているでしょうか?

ただ単に、人間という形を作っていくための、物理的なガイドラインでしょうか?
もちろんそうでもあります。

しかし、高村光太郎の言葉にもあったように、サザエが美しいのは、この中心軸があることであり、だからこそ高村氏は魅了され、彫刻作品を創作しました。
そして、ダンスやアイススケート、または武術など身体を使った芸術のパフォーマンスに触れ、その身体から溢れ出すエネルギーの美しさに心が奪われたことがあるのは、私だけではないと思います。

体の軸、ミッドラインは、発生の原点であると同時に、その命のエネルギー、輝きを含んでいます。

誰もが、人として生きている以上、このミッドラインを持っています。
そうでなければ、今、生きていられないはずです。
どんなに、たとえば、肉体的な困難を抱えていたとしても、ミッドラインは存在するのです。

その例として、腰が物理的な事故で捻じれた場合、その捻じれによってずれたミッドラインは、他の部位、たとえば首を逆にねじることで埋め合わせし、バランスをとろうとします。
これは、ミッドライン自体がバランスをとるための知恵をもっているからなのです。

その知恵は、肉体的なレベルだけではなく、精神、心においても同時に影響が及んでいます。
そして、原始腺条という溝が現れたときの有様を、クラニオセイクラルではこのようにたとえています。

Breath of life  ブレスオブライフ 命の息吹
「神様が息吹を吹きかけた」

この神様の息吹によって、人は自分自身のオリジナルマトリックス、青写真、そして個性や、誕生する使命、そして、その人の命の輝きが与えられたという表現をしています。

実際は、神様の息吹と言うのは比喩です。しかし、神様レベルの創造主でないと、この原始腺条の発生は起こせないのではないかという考えの下にある表現だと考えられております。
その命の息吹があるから、私たちは、単に肺呼吸をして酸素をとりこみ、食事から栄養分を吸収して単に物理的に生きている状態を持続しているだけではなく、それ以上に、生命のエネルギーを燃やしながら、輝きを放ち、物理的にも霊的にも今ここに存在しているのです。

クラニオセイクラルは、その命の輝きを、たとえば、先述しました、腰のねじれを埋め合わせするために全て消耗するのではなく、本来の自分を取り戻し、より自分らしく生きていくという状態に近づくためのワークなのです。

まず、腰の捻じれが弱まれば、補うために捻じれてしまった首も緩やかになっていきます。
捻じれるために使われたエネルギーを、今度は、自分の光り輝く命の表現に使うことが出来ます。

困難な状況から、自分の身を守ることに使われていたエネルギーも、
困難の原因が軽減されることによって、
自分の命の輝きとして自分自身を生きることに使用することが出来るというわけです。

逆な言い方をすると、命の輝きが増せば増すほど、命の輝き自体が、困難を癒す知恵を持っているので、困難を引き寄せる要因が、軽減されていくという言い方も出来ます。

そして、驚くべきことに、このミッドラインの英知は、加齢によって衰退するということは無いそうです。

英国に在住のフランクリンシルズ先生は、文献にて、このように記述されていました。
「胚子の形成力は、80歳になっても同じように働いている。」
少し難しい言い方ですが、肉体が老化したからといって、体の中心に流れているエネルギーが老化し衰退するわけではないとも言えると思います。

ミッドラインについてのお話は、これからたくさん出てくると思います。
まだまだたくさん続きを書きたいのですが、一度この辺で終わりたいと思います。

ここまでお読みくださってありがとうございました。
またのご訪問をお待ちしております。

中満整体

0 件のコメント:

コメントを投稿